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SEKIROプレイレポ⑤~天狗~

はー、はー、弦一郎……きっとお前に勝ってみせるよ……。(かれこれ30回くらいは死んでる)

 

 戦場に打ち据えられた一際大きな骸の前に、天狗の面を被った男が音もなく降り立った。髪は白く、人であったなら相当な老躯であろうが、歳を感じさせない身ごなしが、神通力を備えているかのような厳かな空気に繋がっている。

「おう、鬼鹿毛。守っとったか」

天狗は、残された愛馬の鼻を撫でる。死した主の周りには、比較的新しい『鼠』の死体が転がっていた。主を殺されても尚、百戦の戦場を共に駆けた盟友の首級だけは護りきったのだった。

顔面の蛆を手ではらい、半開きの瞼に手を添える。哀愁を残していた顔は、安らかに眠ったようになった。天狗はそれをじっとみて、

「雅孝」

と呼んだ。つらつらと思い出話を語るのは生きている間にするべきであるし、彼らは多くの年月を共にし過ぎた。だからこそこの男に手向ける言葉はそれだけで十分だった。

天狗は雅孝の身体を担ぎあげ、鬼鹿毛の手綱をひく。

「さて、参ろうか」

しわがれて生気を失った声は、風に溶けて誰の耳にも届くことはなかった。

 

 

天狗(一心)が鬼形部撃破後に大手門後方の城に現れますが、盟友雅孝を弔うため、が理由のひとつにあるとめちゃくちゃ最高だなという話。

大手門に鬼形部を配置したのはおそらく弦一郎でしょう。一心が忍びを使って狼を葦名城内へ手引きしたのなら当然、狼によって鬼形部が殺されるリスクも折り込み済みな筈。だから「生きているのが不思議なくらいの大病」を患っている一心が、わざわざ「鼠狩り」の為に大手門に現れた理由にはもうひとつ、朋友を弔う目的があったんですよ!……という妄想がはかどる物語の隙間がSEKIROには多いですねぇ!はぁ、ときめいてしまう。

だってらっぱ衆なんて他の者に任せておけばええやん……わざわざエマちゃんに置手紙まで残して………心配させないでお爺ちゃん……。

 あとラスボス一心が鬼形部の十文字槍を使うところ、ほんとうに細かい。設定を設定で終わらせない。そこに痺れる憧れる。(倒せるんかな……)