プリースト リゴル・モルティス

わたしの大好きな「新感染～ファイナルエクスプレス～」の続編予告に興奮して、うおお、主役の男の人かっけぇな…！ってなってパブサしたら「おっさんと美青年がコンビを組んで誰にも理解されないいばらの道を突き進む悪魔退治」というドツボ設定映画があったので、絶対好きな奴～というアンテナがびびっと働いたのでみた。はい、あたり！！好き！

あとプリーストみてたらめちゃくちゃリゴルモルティス観たくなってそっちも観てしまった。

やさぐれ神父と、ふてぶてしいが実は過去に重い傷をもった青年助祭の凸凹コンビ、もう王道過ぎて好き。のっけから性癖がっつり掴まれてそっからもう虜でした。突き詰めると重くて暗いホラーな話なのに、ちょくちょく挟んでくるネタが話の腰を折らずに挟まれるから、あまり陰鬱にならずに観れる。（悪魔祓いの前に鼻の下に歯磨き粉を塗っておけよ、っていわれて、よくわからないままちょこっとだけ塗って入室したら、悪魔にとり憑かれた者の発する腐臭が耐えられずに嘔吐→べたべたになるまで歯磨き粉塗るとことか！）

路地裏で、街中の雑踏の光を映しながら二人が暗い所で「なぜ戻ってきた」「靴を忘れてきたんです」「戻ってくる運命だったんだ」からの会話がいい。

昏睡状態に陥っていた悪魔憑きの少女が、神父が塩の結界を跨いだ瞬間に「神父様…」って喋りかけてくるところは鳥肌が立ってしまったな。パラサイトの時のパク・ソダムの演技、とくに目線の使い方がほんとに惹きつけられて大好きだけど、プリーストの怪演も最高すぎてむせび泣いた。ぶっちゃけ怖すぎてちょっと泣いた。

エクソシスト観たことないけどガッツリオマージュ入ってるっぽいからそっちも気になるな。

しかしこっちは割とハッピーなホラー映画です。

リゴル・モルティス。

死後硬直、という意味の題名ですが、蓋をあけるとキョンシー映画です。プリースト観てる時に観たくて観たくて仕方なくなったのでもっかい観ちゃった……。わたし、このホラー映画まっじで大好きです。霊幻道士シリーズは観たことないけれど、この映画全体に漂う失ってしまったものへの郷愁……？もしくは時代に取り残された寂寥感、追悼にも似た空気……しみじみと美しいとさえおもう。ちなみにこっちは本気で誰も報われないわりと陰鬱な映画。あと出演者……主人公の設定、とそれを演じる役者、そして最後のオチ……をおもうと、い、一体どんな気持ちで……演じていたんだ……？とリアルな寒気もしてくるような……い、いいんかな……。

（パケ絵がグロテスクで奇妙で、一度みたら忘れられないインパクトがある……一周回ってかっこいいよな……！）

この幽霊マンション怖すぎて絶対に住みたくないとおもうけど、道士ヤウと主人公のチンが幽霊と同席しながらご飯食べるシーンがすごく好き。

「幽霊が見えるのにここに住んでいるのか？」と聞かれたヤウが「どこでも同じさ」と言って「霊は土地に憑く。家じゃない。俺はここに住んで数十年。だが連中は100年以上だ。俺もいずれはここに憑くだろうし、今からいい関係をつくっておくんだ」と答えるところ、アジア圏特有の死生観が色濃く出ているなっておもう。

人を生き返らせるという外法に手を染めてしまった心優しい奥さんがどんどん狂っていくところも最高だったな。愛する人を突然失った悲しみを吐露し旦那さんの周りをまわりながら、ひとしきり泣いて、その後正気が涙と一緒に零れ落ちて人が変わってしまったかのように語調を強めながら詰め寄るシーン、辛すぎてめちゃくちゃ泣いた……。

ついでにアクションもあるぞ！（少しだけど）というか、家族がよくカンフーアクションを流してたからか、（その時は好んで映画あんまり観る人間じゃなかったのでじっくりとみることはなかったけど）あの滞空時間がめっちゃ長いカンフーアクションかっこよくていいな～ってなっちゃう。

最終局面ででてくるアイテムとかアイデアがほんと～～～に好き。廊下に血で呪文書いて呪符に見立てて結界にするとことか、あとあの血で動く回転盤！道士ヤウが回転盤に指突き立ててそっから流れる血で術式を展開させたり、最終的に戦闘が長引いてしまって回転止まらなくて腕ねじ切れるとこがはじめてみた時衝撃過ぎてもう一生忘れられない。

好きな映画、わりと酷評されてることがよくあるからなかなか辛いものがあるけど、（空海とか……）やっぱり何回観ても好きな映画に出会えるというのは嬉しいなぁ。