model9000のブログ

更新履歴と雑記

メメントからのテネットとエトランゼ

わたしはノーランが好きだ。(何回目だよ

メメント

ノーランはやっぱり科学に造詣が深いというか、科学的根拠をいいように取り入れながらエンターテイメントをつくるのが上手い…好きだ…。というかこの場合は、共同脚本の弟、ジョナサン・ノーランなのかな? 兄弟そろって天才とはたまげたなあ。

妻をレイプされ殺され、その時のショックで「記憶が10分程度で消える」という前向性健忘症になってしまった主人公レナード(ガイ・ピアースかっこいいな……。)の感覚を疑似体験を経験できるトリックとして、「シーンをぶった切って遡っていく」という手法を取り入れたノーラン、やっぱり着眼点がすごすぎる。

あと記憶がすぐ消えるので、大事なことを刺青にして全身に残している、という単純にビジュアルがもうやばすぎるよね?!?!

タクシードライバーのモヒカン並みに厨二心が刺激されてしまう!わたしが中高生の時にメメントみたら絶対なんかかっちょいい名言集を腕とかに書いたな!油性ペンとかで!

これもテネットやインセプションと同じく時系列が狂ってるんで、一回ではなかなか全体を把握しきれない作品。しかも信頼できない語り手。あ~信頼できない語り手、大好きだな!ってかwikiの信頼できない語り手の項目、観たことある話が意外と多くて笑ってしまった。めちゃくちゃ好きやん。

・記憶と作話

H.Mさんという人がいる。この人はてんかんの手術で脳の海馬と言う部分を切除した人。海馬を切ったことで、ちょうど主人公とにたような重度の前向性健忘を発症してしまう。

短期記憶を司るのは海馬だけど、海馬に損傷を受けた人は、事故で脳の機能が壊れた時点で脳内の時が止まる。思い出の中に生きる人になる。だから「今はいつ?」と聞かれると必ずその事故があった年を答えるらしい。

おもしろいのは「作話」のエピソード。

作話と言うのは、脳のこじつけ。行動の理由づけのでっちあげであり、誰しもが行っている脳のしくみ。

記憶が数分で消えてしまう人と握手をするときに、わざと電気ショックを流す実験をする。当然その人は怒るんだけど、短期記憶ができないから数分で忘れてしまう。けれど記憶と言うのは、脳のあらゆる部分で覚えているものだから、その握手で痛い目にあったエピソードを忘れてしまっても、握手によって不快な気持ちになったという感情の記憶は、別の部位に記憶されていたりする。(らしい)

だから次に会った時に握手を求めると、患者さんはものすごく嫌がる。理由をきくと、「手を洗っていないから、汚れた手で握手をするのは失礼だとおもって…」と答えるらしい。

これが「作話」。

作話は、脳が感情に勝手に説明をつけた「嘘」。だけど自分自身の嘘には気づけない。これは、なにもこの患者さんだけではなくって、みんな誰しもがやっていることです。自分じゃなくて、自分の「脳」が、ですね。

行動や感情が不明瞭なとき、人は訳もなく理由を探して納得しようとするけれども、それはもしかしたら自分の脳がついた嘘、作話なのかもしれない。……というのが、「単純な脳、複雑な「私」」という本にのってるエピソードです。

メメントみたあとだと、ああ~!となってしまう。

あと作中で「記憶は記録じゃない」という言葉が出てくるけど、わたしはほんとうにこの世で一番自分の記憶というのが一番信用ならない、とおもっているし、(とても忘れっぽいので……)脳のことについてちょっと調べただけでも脳ほどあいまいに出来ているものはないと感じるので(だから未だにコンピューターで脳を再現できないんだけど)この一言を完璧に完全に立証したメメントという映画、個人的には拍手喝采ものでした。

あとこの台詞があるから、いわゆる芥川の「藪の中」的な「誰が本当のことを言っているのかわからない(あるいは全員嘘をついている)」という示唆にもなっているよね。ああ、ノーラン、好きだ。(定期

最初の写真のシーン、逆再生になっていて、テネット見た人にはちょっとニヤリとできます(笑

 

 

自分の外に世界があると信じなければならない。

思い出せなかったとしても、自分の行動に意味があると信じなければならない。

 

 

 

メメントからのテネット

 

What's happaned happaned

(起こったことは変えられない)

 

 

それを証明するのは、ボタンひとつあれば十分だ、とニールは言った。

「好きな時にボタンを押していいよ、と言われて、好きにボタンを押したとき、頭の中がどうなってるか、興味ある?」

 ニールは相手のことなどお構いなしに喋り続ける。少し早口だった。「押そう、と頭が意識した時には、すでに脳はボタンを押す準備をしているんだ。つまり思考があって行動があるんじゃなくて、行動あってから、後付で思考が追いかけているんだ。脳がつじつまを合わせる機能の事を意志、って呼んでるんだよ。つまり……」

 肺の中の空気を吐ききったニールは一呼吸置いた。いやに視線が熱っぽかった。

「起こったことは変えられない。決まったことに対して、どう思うか、どう考えるかが人間というやつなんだ」

 最後の方は、ほとんど自分に言い聞かせているような、切迫した空気があった。時間は、それが一方的であるから原因と結果という因果に縛られている。すべてのことは最初から決まっているが、だからといってなにもしないでいい訳がない、とニールが世界の宿命論について口にしていたことを思いだす。

「……映画みたいなものか」

「そうさ。僕達はキャストで、物語のラストはもう決まっている。世界は収束に向けて動いている。だけど、映画は心までは映せない。考えていることだけは自分だけのものだ」

 彼にしては要点を得ない話に眉をひそめると、ニールは笑った。へらりと人を躱すような笑みだ。そして得意の鍵開けを披露したときのような、自信に満ちている声色で囁いた。

 

 

「この先なにが起こったとしても、僕にとっては麗しい友情の証明になるんだ。行動に意味があると信じるなら、僕にとってはそれしかないんだよ」

 

 

テネットはニール君の頑張り物語でもある……テネット2回目いくまえに整理してから、またあらためていろいろ書きたいな。

 

▼ってかてかエトランゼの駿くんってさ

エトランゼの駿くん、SF小説家なんだってよぉ……?!?!

まじか!?!最高では!?!?!2001年宇宙の旅を観てないからポスターに気づかなかったよわたしは……!!というか未だに記憶があいまいであれ2001年宇宙の旅だったんかな?わからん。え、駿く…駿さん、どのようなSFをお好きで……う、宇宙系ですか?ハードコアSF?スペースオペラ?火星の人とかインターステラーとかみた?つか2001年宇宙の旅とかしっぶいチョイスしてるくらいだからもっとあれなんかなディックとかアシモフとかなんかないやどうだろう……つかなんでこのチョイスだったんだろう………。はっ、まさか。

2001年宇宙の旅を執筆したクラークが、バツイチで同性愛者だったから……?!?!(駿は結婚はしてなかったけど)

っていうのは、チョイスの理由としてはあるかもしれんけど……。うわ~~~~~駿の書くSF小説めちゃくちゃ読みたすぎてやばい!!!

……ついでだから告白しますが、サイト名の「MODEL-9000」は2001年宇宙の旅にでてくる「人工知能HAL9000型コンピューター」をおそらくもじったであろう神林長平の言壺という小説に出てくる「MODEL-9000」というコンピューターの名前ですわ……2001年は読めてないけど…(お前…

ほんっっっとSF小説、百合界では「百合SF」なんていう一定の知名度を得たというのに(多分SF界隈だけだけど)、いや百合SFも大好きだけれども、男達のクソエモ感情SF小説というジャンルを確立…してもいいんじゃないか…?!ダメ?!ダメなんか?!

男達のクソデカ感情を浴びれるSF映画、遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONSと屍者の帝国しかしらないんだけど;;;;;

テネットも主人公とニールの関係性にブロマンス的なアレを感じてしまうのめちゃくちゃわかるよ~~~~

BLUELYNXに今後も期待……。そしていつか…いつかBでLなSFが出てくることを願います……!!