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セント・オブ・ウーマン~夢の香り~

フォロワーさんからのオススメ、パート2!

この邦題からしラブロマンスかとおもいきや、偏屈じいちゃんと気弱だが善良な青年のヒューマンドラマだった。だから邦題は「夢の香り」がつくんだな…!!

いや、わかるよ。「ぼくのエリ~200歳の少女~」はそもそも少女じゃないという、とんでもない嘘邦題だったけれども、アルパチーノ演じる盲人のフランクにとっては、夢と女は暗闇のなかにそっと香るものという意味を持っている。

 

っていうか観終わった後で調べたけれども、わたしの好きな映画のひとつである「カッコーの巣の上で」の脚本の人だったんですね。ボー・ゴールドマン。

そりゃ好きだわ~~~~~!!!えってか今調べたけどちょっと待って9/18からネトフリでやってる「ラチェッド」ってカッコーの巣の上での前日譚なの?!?!あのラチェッド婦長?!?!マ?!?!

ぐ、偶然……この間から偶然が重なりすぎて……なんか……これはもはや偶然なんだろうか……。世間はいがいと狭いのだろうか……。ネットフリックスに嗜好のすべてを把握されているのだろうか……。多分それだ。SFめいてきたな……!

 

感想、みんなアルパチーノの事しか言ってなかったけど、たしかにこれはアルパチーノのことしか言えなくなる。圧倒的パチーノ。噂のタンゴシーンもおもわずチャーリーや観客とおんなじ顔になるくらい楽しくてきれいだった。

 

「ウォルドルフの大きなベッドに横たわって……頭を撃ち抜く」

「スレード中尉。さっきあなたは……自殺すると?」

「頭を撃ち抜くと言ったんだよ」

 

で1回目泣いてそっから要所要所でぽろぽろ泣く。

3回目くらいから何回泣いたか数えられなくなったので何回泣いたか覚えてないや…。

 

瞳のなかの光の演出がすごくきれいなんですよねこの映画。それはフランクが盲人ということもあるんだけど、特に最高の女を抱いて戻ってくるときの「美しい女だった」の陶酔しきって涙で潤んだ瞳がはっとするほど惹きこまれる。そして翌日の憔悴してげっそりと生気の抜け落ちた顔をみてほしい。傍若無人フェラーリを乗り回す若者のような楽しげな顔と、夢から覚めて急に何歳もめっきり老け込んで「白髪のゴースト」みたいになった顔。暗闇の中で夢が香れば香るほど、それが消えた後、虚しさやさみしさが心の中を埋め尽くす。

そしてその死と生の拮抗の振れが最大限になっていたのが、自殺を止めようとするチャーリーへ掴みかかって「出て行かなきゃ頭をぶち抜く」「俺の人生には暗闇だけだ」と叫ぶフランクに、「やれよ!ぶち抜きたきゃ撃て!」「引き金をひけよ」と応酬のさなかに見せる、右目にだけ光る涙のハイライトなのかなっておもう。(左目は陰になって濁っている)フランクに生きる理由を問われて、「タンゴと、フェラーリの運転は自慢できます」と言った後にじょじょに左目にも光が灯るんですよね……。好き……。好きな演出……。

その後の大演説はもうね、嫌いな人はいない。もうね、完璧すぎる。ありがとうボー・ゴールドマン。最高の友情だった。いい映画だったな……。

 

おもいっきり情緒を掻き乱されたのでアバウトタイムは来週だ!